永井"ホトケ"隆


「別冊Trick Bag Tribe(TBT)」/2000.12.26


♪After The Storm is gone

@12/7のJirokichiでの"Midnight Secret Gig"へはtbtのみんなは来てくれなかった のでしょうか?Gigへの感想メどが少ししか届いていなールない。木曜日の深夜でしかも師走で朝から仕事の方々には敬遠されたかも知れないが、あれは徹夜で仕事に行ってでも聴く値打のあるセッションだった。毎年12月に新宿のパークタワー・ホールで行われている”Park Tower Blues Festival”に「来日」すると山岸から聞いたのは9月の終わり頃。今年は12/7から12/10まで開かれ、出演ミュージシャンはギター上手い、キーボード上手い、ルックス結構イケてる、でも腰低い子供めちゃ可愛い嫁はんべっぴんの<ラッキー・ピーターソンと彼のバンド>。次は<HARPATTACK>と名付けられたLazy Lester, Guy Forsyth 、Arther Williamの3人のブルーズ・ハーピストのグループ。そして今や全米ツアー250本を敢行する(おかでVoのハウスマンは減量に成功・・)人気のジャズ・ファンク・ロッキンバンド<ギャラクティック>、更 に楽しみなのが山岸がギターを担当する驚異のニューオリンズ・ピアニスト<ヘンリ ー・バトラー>だった。

One And Only....Henry Butler from Big Easy

@12/7にJirokichiの通常ライヴが終了してから山岸とセッションする約束はしたものの他にどういうメンバーが来るのかは未定だった。前日僕はカオス・モリと新潟三条の”ビッグビート”の20周年記念ラ イヴに行っていて”来日”しているはずの山岸となかなか連絡が取れず、やっと話し たのが夜中3時。オレ「明日大丈夫か?」山「バリバリやがな。今日なパークタワーの出演者と主催者とのミーティングがあったんやけどな。ハウスマンがオレに明日どっかでギグやるんか?って言うてきたから、やるでぇ言うてたら、ヘンリーが横から”オレも行ってええかな?”言うねん。”もちろん、ええよ”言うたら”それはどこでやんねん?”とか”ここからどう行くねん?”とか聞くねん。そしたらギラクティックの奴等が”オレらも行きたいなぁ”言うて、もう主催者の話なんかだ〜〜れも聞いてへんねん。ハッハッハッ・・」。翌日新潟を少し早めに出た甲斐あって、パー クタワーのライヴも見れてJirokichiへ駆けつけるとさすがJirokichi!すでにステー ジのセッティングはOKだった。やがてゾロゾロと集まり始め、tRICK bAGの他に佐山 雅弘、松本照夫、そしてDr.のマーティ・ブレイシー、そしてベースの黒ダコ (Mr.Black Octopus)ポール・ジャクソンもやってきた。最初に僕たちと山岸がやって後はフリーにどうぞ、という形にしたが何しろヘンリーのピアノの凄さにみんな腰抜け状態。ピアノがあれば”パブロフの犬”になる佐山も見てるだけ〜状態。その横でコジ犬も”ハウス”状態。佐山曰く”オレはどんな早いオスカー・ピーターソンのフレイズも何をどうやっ てるか分かるけど、このおっさん(ヘンリー)だけはわからへん。見ててもわからへん・・・。”ピアノとキーボードと2台用意してあったが土石流佐山も火砕流小島も ステージに出なかった。この話だけでヘンリーがどのくらいのものか・・・想像つくでしょう。オレはニューオリンズのクラブでピアノのすぐ目の前の席で、ヘンリーの手を見ていて目が回って気持ち悪くなった(ホント!の話)。小島は「手が4本ある」と言った。当日初めて見たモリは「あのピアノじゃ山岸もバッキングでリズム切 るしかないよなぁ〜」。

@we've got the power

そこへやって来た元”ヘッド・ハンターズ”、60年代終わりの”オークランド・ファ ンク”メイカーのひとり、ポール・ジャクソンは楽屋でオレと鶴谷相手にアホ話して いたが、ヘンリーが弾き始めると"???" "Oh!""oooh,Yeah!!"早速ベースをケースから出していた。途中ヘンリーがテンプテーションズの”Papa was arollin'stone”を始めるとポールもマーティも”♪Papa was a rollin'stone♪”の大合唱。オレはすかさず「この歌はあんたらのことや・・」と言ってやったら二人とも「当〜〜たり」とばかりにゲラゲラ笑ってました。1曲終わる度にポールが「演れないかなぁ・・」と言うので山岸に言ってポールをステージに出した。黒ダコ VS黒バッテラ=オークランド・ファンクVSニューオリンズ・ファンク。クラシックからブルーズ、ジャズ、ソウル、ゴスペルまで縦横無尽にミュージック・ワールドを駆巡るヘンリーにやや押され気味のポールだったが、両者の激突は聴き応えがあった。 途中、山岸がオレにも入るように合図してきたが、ヘンリーが始めたその曲をオレは 知らなかったので入らなかった。しかし、しばらくしてそれがウィルソン・ピケット の”Mustang Sally”だと気づいた。カヴァー曲に対するヘンリーのアレンジも実に独創的だ。しかし、いくつ曲を知っているのかヘンリーのレパートリーには驚く。それについていく山岸はじめバンドのメンバーの音楽的な幅の広さと深さも素晴らしい。ニューオリンズで鍛えられて山岸は「太く」なった。ギャラクティックでも、ハウスマンでも日本のミュージシャンとの違いはテクニックのことより、まずその「太 さ」のように思う。日本のミュージック・シーンは細くて、狭い。知らないうちに自分のパワーがスポイルされてしまう。狭い箱庭の、しかも井の中の蛙になりかねな い。あの数日でたくさんパワーを貰った。大阪では山岸がどこかで聞いたことがある なぁ・・・・と、始まったヘンリーの曲。それは山岸が初めて聴くヘンリーの”スキ ヤキ”(上を向いて歩こう)だったそうだ。ああ、聴きたかった。パーク・タワーの最終日、ハウスマンは僕の顔を見るなり「Merry Christmas Baby・」と歌いながら近付いてきた。僕がJirokichiのGigでそれを歌ったのを「めち ゃ良かったでぇ」と言ってくれたが、他のメンバーもみんなそれが印象に残ったようでみんなに「Merry Christmas Baby・・」と歌いかけられてしまった。「Big leg woman・ ・・」と会うなり歌ったのはヘンリーだった。ちゃんと僕の声を覚えてくれていたヘンリーからGIGがとても楽しかったと感謝の言葉をもらった。この言葉を来てくれたみんなとミュージシャンとJirokichiのスタッフ、僕達のスタッフで分かち合いたい。Thank you all

@Live Schedule
2000-2001
12/24 東京すみだトリフォニーホール/DUO×DUO/菊地 雅章(P)渋谷 毅 (P)×本田 竹広(P)小島 良喜(P)
      トリフォニーホール  チケットセンター03−5608−1 212
12/27(水)Jirokichi  /「GIG FOR 2001」/塩次伸二G 小島良喜P 坂井紅介B 鶴谷智生Dr 永井ホトケ隆VoJirokichi03−3339−2727(♪2500) 12/30 目黒ブルース・アレイ「天敵年末大セッション」 近藤 房之助(G,Vo)、 永井“ホトケ”隆(Vo)、正木 五郎(Dr)、青木 智仁(B)、小島 良喜 (Pf)、ブッチャー 浅野(G)、森園 勝敏(G) ブルース・アレイ03−549 6−4381
12/31 大阪心斎橋クアトロ/ Catch the groovy count down 21C/ 23:00からの 「BiG Horns Bee」のステージにホトケ飛び入り(予定4曲) その後New Year 2000 1:00から心斎橋 Nest Saloon/New Year Gig/ホトケ、塩次伸二、ポール・ジャクソ ンなどなど・・BHBも来ることでしょう。
2001 1/12 Jirokichi  /コジ・カナ・ツル・ヤギ・ホットケー with Strings/ 小島 良喜(P)、金澤 英明(B)、鶴谷 智生(Dr)、八木 のぶお(Hrm)、永井“ホ トケ”隆(Vo) <Strings Ladies>岩戸 有紀子(Violin)、矢野 晴子(V iolin)、矢野晶子(Cello)、大沼 幸江(Viola)
1/30 Jirokichi  /tRICK bAG -コジ犬+光/小島欠席にて助っ人、須川光(org)森園 勝敏G鶴谷智生Dr 永井ホトケ隆Vo 大 西真B

@Good News @
モリがギターでサポートしている<瀬川洋&Travellin' Ocean Bluebirds>が2nd"リヴ・イン・ライヴズ”をリリースした。ド太いRockです。

1/13 19:00~澁谷Tower Records そのプロモ・ライヴ後、すぐに金子マリと六本木「アルフィ」だそうだ。

@最初にも書いたニューオリンズのいま最も注目されているジャズ・ソウル・ファン ク・バンド「ギャラクテック」のVoとして来日したハウスマンことセリル・デクロウ の初アルバム”The Houseman cometh”がP-Vineから1月にリリースされる。錚々たるニューオリンズのミュージシャンで録音されている。もちろんBrother Junも入っ ている。
@そのBro.Jun Yamagishiがニューオリンズの超パワー・女性ヴォーカル、 MarvaWright(マーヴァ・ライト)の新譜(Marva)の副プロデュースとアレンジをすべて手掛けている。Little Willie Johnの"Let Them Talk" The Bandの"The Weight" Bob Dylanの"Knockin' on Heaven's door"など多彩な選曲だがマーヴァの味がよく出 ている。ただ発売元がオーストラリアの”AIM”というレーベルでどのくらいの枚数 が日本に入ってくるか・・・見つけたら迷わずget!。

♪今年も友人が何人か亡くなり葬儀に出席したり、弔電を打ったりする度に悲しさとはかなさに気落ちするが、身近な人の死は怠惰に生きるなという警告のように思える。 先日ライヴのお客さんが少なかった翌日「とてもいいライヴなのにお客さんが少なく て残念」とか「お客さんが少なくても一切手抜きなしの素晴らしい演奏でした」といったメールを頂き、「今度は友達を誘います」とか「部下をつれて来ます」とか気を遣ってもらった。当たり前のことだが、お客さんはたくさんいた方がよい。それはバ ンドを存続させるためにも、ライヴハウスを存続させるためにも、そして「祭」であ るライヴを華やかなものにするためにも必要なことだ。しかし、集客が少ないからと言って、パワーを落とすことはできない。何故なら、まずステージ上でメンバー同志の音の会話からはじめなければならない。パワーのない音(言葉)は相手に届かないことを僕達は知っている。それをやると一緒にステージに上がれなくなる。ライヴをやっている時間、僕達は同じひとつの空間で同じ時間を過ごしているが、その貴重な 時間を真剣に共有できない相手とは一緒にプレイしない。僕達は毎日まったく同じ一日を過ごすことがないのと同様に、毎日同じ演奏はしない(いやできないというべき か)。気分は毎日違うのだから。聴いている方々も手を打ちたいひとは打ち、立って 踊りたければ踊って、目を閉じて何か風景を見たければその心に映して、流れていく 音に乗せて魂を自由にさせてほしい。そして、全員の魂が自由になった時が僕たちの最大の喜びだ。そういう時間を互いに過ごすこと時間をそこで「分かち合う」ことでもある。「分かち合う」・・・・これが僕にとってとても大切なことなのです。来年もよろしく。呼んでくれれば地の果までもいきますから声かけてください。。

tRICK bAG say We wish you a merry christmas & a Happy new year!!
tRICK bAG 森園勝敏 小島良喜 永井ホトケ隆  大西真 鶴谷智生
(tRICK bAG tRIBEは一晩で地球を三周するバンド”tRICK bAG”が不定期に発 送する無料のメール・マガジンです。

 



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