TBT(Trick Bag Tribe)
No.17
<コジ犬主催> の野良犬たちと芸者お姉さんのライヴ(コジ、ツル、カナ、ヤギ、ホ
ットケープラスお姉さんStrings 岩戸有紀子 矢野晴子 大沼幸江) がなんだかお
もろくなってきた。例えて言えばジョン・リー・フッカー(私)がベルリン・フィル
(お姉さん)と共演しているようなものか。私が幼少の頃、バイオリンとバレー(ボ
ールではない、ダンスの方)を習っている女子はみな「ええしの子」つまりお金持ち
の子供でありました。小学5年の頃、バンビのような同級生のKさんは男子生徒の約半
数の支持率をもつ憧れの的でありました。連れの悪ガキたちとバレー・スクールに
Kさんをこっそり見に行ったこともありました。その時の練習に励む彼女を見て「や
っぱ、可愛いなぁ」とみんなは言うのですが、がに股のような足の格好やつま先で踊
る姿に「何か無理がある。あんまりかっこええことない」と僕は感心しませんでし
た。また、泥まみれになって遊んだ帰り道、立派な彼女の家の前をどきどきしながら
通り過ぎる時、聞こえてくるのがバイオリンの気品のある音でした。結局、私は一言
も彼女と喋ったこともないまま卒業を迎え、彼女は私立の中学へ行ってしまい、バレ
ーとバイオリンと彼女は深窓の奥深くへ包まれてしまったのです。こういう体験がね
じれにねじれて、どうせ泥まみれの育ちのオレには泥水親父がお似合いさ・・とマデ
ィ・ウォーターズを好きになったわけではないが、その屈折した気持ちが多少ブルー
ズに入りこんだきっかけになったかも知れません。
さて、あの山岸潤史が某歌手に「ブルーズだけはやめとけよ。ホトケみたいになるぞ
ぉ〜」とアドバイスした事実が過去ありました。あんなヤツに言われたくないのは当
然ですが、かと言って決して他人に勧められるいままでの人生ではありません。
<10/24(火)Jirokichi> は私がいかにしてブルーズに取り込まれ、人生を見失った
かを話しながらのライヴにするつもりです。題して「The Birth of my blues」。
この日は不肖、私の誕生日で前々からJirokichiのスタッフに「バースディ・ライ
ヴ」をやってくれと言われていたのですが、今さら「バースディ・ライヴ」なんて気
恥ずかしくてできないと断わったのですが、結局「バースディ・ライヴ」というタイ
トルはやめるということで合意というか・・。まあ、人生の良くない例として今後の
みなさんの人生に役立てば・・と思います。
<伸チャン・・・> 人生と言えば、いままでの人生の半分の時間を共に生きてきた塩
次伸二がこの前緊急入院しまして、この夏以来友人知人の不幸が続いていただけに驚
きました。栄養のバランスが悪く(要するに偏食ということ)、その弊害が積もり積
って心臓に押し寄せたらしく、心臓の弁が正常に作用していなかったらしい。あと
3日ほど遅かったら死んでると医者に言われ、さすがの気まぐれ伸ちゃんもここのと
こ早寝早起きと食事に気をつかっている様子。夜の1時なんてフツーの人の夕方6時ぐ
らいの生活ぶりだったのが、電話したらもう寝てました。朝は7時に目が覚めるそう
で、つい「近所の掃除でもしてるん?」とちゃちゃ入れてしまいました。以前宝くじ
が当たったときに人生の幸運の大半は使っているはずなのに、運良く命拾いしたわは
っはっはっ」と笑う当人。いつまでいまの殊勝な気持ちをキープできるか?
私の周りには「これ健康体」というヤツはいません。そういう私も自律神経系の病を
13才からずっとひきづっており、疲労がたまったりすると前触れもなく出てくる厄介
なやつです。病気自慢になりますが、tbはみんな何がしか病気持ちです。
<癒し系> ところで私のような神経系の故障には「癒し系」の音楽が良いとかで、巷
では「癒しの音楽」とやらが流行っているのをみなさんも御存知でしょう。「ミュー
ジック・セラピー」とか「ヒーリング・ミュージック」という言葉をよく聞くが、
Healingとは-「心身に働きかけて生命力・自己治癒力を引き出し,治癒・回復を促す
活動」つまり「癒し」。「ミュージック・セラピー」therapyとは-治療。治療法。つ
まり音楽によって行う治療のことだ。しかし、何が、どういうものが「癒し系」なの
かというはっきりした規定はないようで、いくつか「癒し系」とやらを聞いてみたの
ですが、言わばイージー・リスニング。私の心には何もひかからなかった。中にはア
レンジしすぎたイージーリスニングみたいなのもあり、私は癒されるどころか余計に
イライラしました。音楽はその音が好きな人にとってはすべてが癒しではないのか?
ブルース・スプリングスティーンのあの気張った血管ぶちぎれ声が癒しになっている
人もいれば、天童よしみが癒しの人もいる。何やら得体の知れないものを持ち出し
て、それ風に名付けてひと儲けというのはいろんな業界でやっていることだが、何か
正体不明の新興宗教と似ていないこともない。それにしても、人々はそんなに癒され
たいのだろうか?そんなに疲れ、病んでいるのだろうか?病みたいのではな「だろう
か?病気のひとつくらいないと、精神が多少ひ弱でないと、現代人じゃないみたいだ
し、アメリカのエリートは精神科医によくかかるそうだし、なんとなく鬱といえば鬱
だし、そうだ軽い躁鬱にしょう。あんまり重いとヤバいと思われるから・・。アロマ
・セラピーやって、癒し系の音楽聞いて、この際菜食主義になっちゃおうかな・・休
みには軽井沢あたりへ森林浴に行こう・・まあ、こんな手合いもたくさんいるので
は。そこで私は今日ここに「反癒し系」を宣
言いたします。とりあえずの目標は早いうちにジミ・ヘンの4CD・BOX Setを買い、そ
れをできるだけ大音量で聞き、60年代サンフランシスコのハイト・アシュベリーへフ
ィード・バックし、3日3晩トリップすることでしょうか。
<ブエナ・ベスタ+ブラインド・ウィリー・ジョンソン+ムーン> ずっとロング・ラン
を続けているキューバの「ブエナ・ベスタ」こそ、私にとっては最近の「癒し」とい
うか、「安らぎ」であり「活力」であります。プロデュースのライ・クーダーはブル
ーズ好きにとっては昔から馴染みです。彼が音楽プロデューサーとしてその名を映画
関係者にも知らしめた映画「パリ・テキサス」をみなさんは御存知かと思う。あの全
編に流れるスライド・ギターは、30年代の盲目のゴスペル・シンガー、ブラインド・
ウィリー・ジョンソンのスライド・ギター、とくに名曲「Dark wasthe night」から
多大なヒントをもらっている。ライは「絶対に彼のようには弾けない。彼がこの世に
存在したことが信じられないほどの素晴らしいギター」と絶賛している。時折、僕は
無性に彼の歌とギターを聞きたくなる。Moan(呻き)とスライド・ギターだけの
「Dark was the night」はじめ、ブラインド・ウイリーの曲は私の精神をまっすぐに
し、魂の汚れをぬぐい去ってくれほどに神聖な響きに満ちている。ブラインド・ウィ
リーのようにギターを弾いてゴスペルを歌う人を「エヴァンジェリスト」と呼ぶが、
彼はギターのネックに空き缶をつけて、そこにチップをもらって生活していた。故郷
のテキサスで夏も冬も街角で歌いつづけ、結婚してからは奥さんに手を引いてもらっ
てジョージア、ルイジアナへも旅をした。まさに神のために生きた人だが、貧しくと
も身なりはいつもきちんとし、心優しく、堂々とし威厳があったという。ある日、自
宅が火事になった。新聞紙を積んでベッドにしていたため放水で湿った黒焦げになっ
ていた紙から、風邪、肺炎をおこし、妻は病院へ連れていったが、盲目で黒人であっ
たために診察を受けられず発病後、数日で亡くなった。40才後半という若さだ。
<癒し系・リンク・ゴスペル> もうひとつずっと気になっている昨今の日本の音楽事
情。「癒し系」からリンクしている風でもある「ゴスペル」だ。さっきの「癒し」の
流れでゴスペルがちょっとしたブームだ。それも聞くのではなく「歌う」のがブーム
だ。でも、このブラインド・ウィリーの話から考えてもらいたいゴスペルは宗教歌
だ。信心なくして歌うものではないと僕は考える。ゴスペルはこういう音楽ですと紹
介するために僕は1曲だけ歌うことがある。何を考えているのか習い事をするように
ゴスペル習ってまぁ〜すなどという人がいる。信仰心なく宗教歌を歌うことはそこに
精神の救いを切実に求めている人たちに対して失礼きわまりないことではないか?コ
ーラス教室なら問題はない、ゴスペル教室と銘打って商売するのはやめた方がいい。
生涯「清貧」であった、ブラインド・ウイリーのような布教、信仰のためにすべてを
捧げた人たちに恥ずかしくなければ別だが・・。「ブエナ・ベスタ」を見れば、音楽
は作る前に自然とうまれるものだとわかる。あの車座になってレコーディングするや
り方。互いに顔を見て、合図し、笑いあう、みんなが同じグルーヴで動き、みんなが
いっしょに高揚していく。まさに音楽をプレイする自然なスタイル。ああいうことを
この国はもうずっと忘れている。すべての職業について当てはまるような気がする。
タイトルからメロディからイメージ、アルバム・ジャケットまでパクる(盗む)こと
に無神経になってしまったこの国。プライドはゼロ、(真似)ばっかりでマネーはい
っぱい。スマップの「らいおんハート」はミニー・リパートンの「Loving You」その
まんまでは・・。カラオケで歌ってみてください。というのもコジ犬とこの間ライヴ
終わってから夜中の3時半にカラオケへ行ったからです。ワン!コジ犬はスティーヴ
ィー・ワンダーなんぞワンワンと歌ってました。僕はプラターズ。「煙が目にしみ
る」でした。知らん?って・・・。火災訓練の歌とちゃうで。
[今年のアバウトなスケジュール]
10/24 JIROKICHI/The Birth of my blues/ホトケ、モリ、ツル、コジ、バカボン、ヤギ
11/15 JIROKICHI/tRICK bAG
11/28 Blues Alley(目黒)tRICK bAG meets Big Horns Bee
日本最高のファンキー・ブラス・チーム「Big Horns Bee」を迎えての
tb初のR&B+Funkレビュー。
11/29 Blues Alley tRICK bAG "Together Again"
Guest 金子マリ
久しぶりに金子嬢を迎え、新しいデュエット曲をとただいま検索中。お楽しみに。
12/2 新潟県三条市「ビッグビート」Hepcats(2Cats from tRICKbAG/Hotoke+Mori)
三条市興野1-44 tel 0256-33-6411
12/4 Jirokichiで塩次伸二セッション(ホトケ、大西) 翌11/5は船橋「月」にて
12/19 Jirokichi 「Talking Blues・・・」ホトケ+小島良喜+our Blues Hips
12/27 Jirokichi 塩次伸二セッション(コジ、ホトケ、坂井紅介、ツル)
12/30 Blues Allley 天敵年末大セッション (近藤房之助、ホトケ、正木五郎、青木 智仁、小島良喜 ほか)
☆tbのアルバム「Last Exit」(ZAIN1054)は都内のJirokichiとブルーズアレイでも
発売してます。発送も5枚以上まとめてこのメール・アドレスに申し込んでくだされ ばOKです。
☆モリのソロ・アルバムの再発がされていますが、はよ買うといた方がいいですよ。s
そのカオス・モリ、また新しくギターを買った。前のギターのネックも換えていた・
・・ジミ・ヘン・ボックスへの備えか?音量だけ気をつけてね。
☆12月あたまに山岸帰国予定。シークレット・ギグの時はまずtbtのみんなに連絡し ます!では、see you later,Alligator.After while Crocodile.tbt忘れるとこでした-ブラインド・ウィリー・ジョンソンの「Dark was the night」は ベートーベン、チャック・ベリーの音と一緒に宇宙探索船「ヴォイジャー」で、月に もう置いてあるというほんとの話。 tb are Takashi"hotoke"Nagai(vo)Katsutoshi"chaos"Morizono(G)
Yoshinobu"Dog"Kojima(key)Makoto"bear"O'nishi(b) Tomo'o "Alien"Tsuruya(Dr)
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